ピュンピュン丸

あゝ、荒野 前篇のピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)
3.8
現代版『あしたのジョー』のようだなぁ、と感じていたら、この映画の原作が1960年の新宿を舞台にした「寺山修司」の同名小説で、それを2021年の新宿を舞台にして、映画用にリメイクしたらしい。『あしたのジョー』は原作、高森朝雄こと梶原一騎の、ちばてつやの代表作だが、そのテレビアニメの主題歌が作詞「寺山修司」となっている。これで、長年の疑問が解けた。この寺山修司の原作こそが、名作漫画『あしたのジョー』の元ネタなんだな。ということで、寺山修司の原作のほうを早速読んでみることにした。

ところで、映画は、現代版なので、主人公たちの抱える心の闇も現代風である。それぞれが、現代の閉塞感に息がつまりそうになっており、その鬱屈したエネルギーの捌け口を求めて、それぞれの行動をとり、その結果他人と関わり、傷つけあっている。

菅田将暉は、憎しみを拳にこめて叩き付ける新宿新次の姿を、相変らずの演技力で魅せてくれる。しかし、もっとも印象的だったのは、バリカン研二役のヤン・イクチュンの演技。対して、いまいちなのは、丹下段平風のユースケ・サンタマリアの演技。まあ、彼は何をやってもユースケ・サンタマリアでしかない。笑

後編の予告で、バリカン研二の動向が気になるようになっていて、楽しみ。