阪本嘉一好子

アフガン・スターの阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

アフガン・スター(2009年製作の映画)
4.8
いとも容易く『アメリカンアイドル』『アラブアイドル』
歌声にのった少年(2015年製作の映画)Ya Tayr El Tayer/The Idol の感覚でこの映画をみ始めた。
単純な動機は、すぐ崩された。
いやいや、シャリア律法の根深さが文化を左右しているんだなあと。この文化から、抜け出て他国に移り住み、同化政策のある異文化の中に身をおかなければこの律法から抜け出せないのか? 私に答えはわからない。アフガニスタンの若者の英語はアメリカ英語を話している。かなり、現在では米国の影響の強い国だと察する。特に、ソビエトの侵入後、アフガン難民が、米国に入ったから。
君のためなら千回でも(2007年製作の映画)THE KITE RUNNER
もこの様子を物語っている。

『アフガンスター』の映画から察すると、米国の歌手の名前が出てくるからやっぱり米国は有名なようだ。

個人的に中東の映画をかなりみている。アフガニスタンは中東というより、もっとアジアに近いし、東にあるパキスタンの国と人権問題において似ている。モスリム 教の国でも(私感)両国は女性の地位が低いように思われる。アフガニスタンが舞台でモフセン監督家族の映画『アフガンアルファベット』『午後の5時』の映画でも女性の地位がよくわかる。特に『アフガンアルファベット』はドキュメンタリーなのでタリバン政権の時代のアフガニスタンの女性に対する考えや、女性がどう考えて、親からしつけられているかがよく描写されている。必見に値する。『Playing the Taar』『Three Dots』もYouTube で見た映画だけど、アフガニスタンの山間地区の女性描写ができている。恐ろしくなるかもしれないので、気分のいい時見た方がいい。

『アフガンスター』もアフガニスタン各地、カブール、カンダハール、ヘラート、マザーリシャリーフ など、東西南北の地域の歌い手を紹介する。『アメリカンアイドル』のように、実力で勝負するというのではなく、(一般的に)パシュート人はパシュート人の歌手に票を入れるという地域ぐるみでの票集めだ。それに、汚職のようなところもある。

日本にもこういう文化がある。私は群馬三区に住んでいてその渦の中にいたからよくわかる。例えば、中曽根、福田、小渕が何をしてようか、どんな人物かは考えずに、群馬県人を衆議院、政界にという考えがある。人間のなかにこういう心理があるのは理解できるが。
でも、中には、歌唱力でパシュウート人の???を応援するという人もいる。
しかし、全てがシャリア律法がベースになっているので、これにのっとってない?????とだめ。
女性が実力があっても優勝はできないかもしれない。ある女性はテレビで『ダンス』したという理由で、カンダハールのタリバンから殺されることを脅かされる。身の危険を感じて、親族に身を寄せる。タリバン政権ではダンスが罪の世界。音楽を聞けば自然に体が動く。これは禁止の世界。衰退してきたタリバンについて、『もう怖くない』とある若者が言うが、タリバンが褒め称えるシャリア律法を支持している若者が多い。シャリア律法を支持している若者はこの矛盾をどう考えているんだろう?

ロシア侵入(千九百七十九年)の前の(タリバン政権前でもある)アフガニスタンをこの映画で見せているが、(君のためなら何千回もでも見られる)ちょっと調べてみないとよくわからないが、全くの別世界。字幕解説にこの間はタリバンによって音楽は尊敬されず、1996年から、ダンスを踊ること、音楽を聞くこと、テレビをみることは犯罪とされたとある。二千一年からイスラム教のアフガニスタンが創立され、2004年に最初の選挙があったと。そのご、音楽やダンスは厳しくなくなったと書いてある。

ファイナルはカブールのインターコンチネンタルホテルである。お洒落をしたりポスターを持ったりして、会場に行くひともいる。ラフィ(マザーリシャリーフ出身で19歳)とハミード(カブール出身で20歳)の決勝戦。ある家族でもラフィの応援とハミードを応援が分かれる。

最後字幕解説でアフガニスタンの千百万の人がこれをみていたと。ラフィとハミードの二人は海外ツアーに入るらしい。ヘラート出身のセタラ(レマ?)はカブールに戻ったと、そして、レコーディンをしたと。
レマ(?セタラじゃないの?)はカンダハールのタリバンの強迫で政府からの保護観察がついていると。
アフガン最大の宗教団体、ウラマー評議会(Ullema Council) は政府はテレビでダンスを踊ることを禁止すべきだと。政府の抑圧にもかかわらず、ToloTVはアフガンスターを続けていると。私感だが山や町でダンスを踊るのは男だけ?