おたしん

ガラスの城の約束のおたしんのレビュー・感想・評価

ガラスの城の約束(2017年製作の映画)
3.7
複雑。
育児放棄と自由教育の境目。
両親共にホームレスで食事すら十分に与えられていない時点で育児とは言えないし不法入居とか大問題なんだけど子供たちの笑顔見ちゃうと100%ネグレクトとも言い難い。

ホームスクールってのもあるし親なりに生き方を教えるってのも分かるんだけど『はじまりへの旅』とはまた違うよね。
まあ実話だからしょうがないけど愛情というより自己満というか。
泳ぎを教えるとか言って溺れさせてるシーンが無理すぎた。
あんな人間には任せられない。

仕事もろくにせず子供たちは二の次で酒に浸り自暴自棄に。
そりゃあ子供も逃げたくなるよ。
母親はまだ正常かと思ってたのに結局同じ考え方になっていってしまうのね。
好きに絵を描いてるだけじゃ育てられないのよ。

何もかも破茶滅茶だし家族が幸せになるための努力をしないようなレックスが信じられず悪夢のような日々を過ごす子供たちが可哀想だと思ってたけど彼の母親アーマの言動を見て全て理解した。
結局そういうことなんだよ。
ここで初めてレックスに同情した。
酷い経験してきてどうにもできず大人になって思い出したくもないことばかりなのに受け継がれてしまう欠陥。
負の連鎖を止めてほしいものです。

時には親が子供を頼るのも悪くないと思うけどゴミみたいなプライドで素直にならなかったり金を盗んで酒を買うような陰湿なことするのはクソ野郎。
まともに話ができないのキツいよな。

パーティーにもノコノコ登場して金儲けのために動いたり嫌になっちゃう。
土地のくだり本当に腹立った。

もう顔も見たくないし私の人生から消えてくれと言い放つほど酷い生活を送らされたけどやっぱり親は親。
どんなにクソ野郎でも他人に悪く言われるのは違うんだよね。
どんなことがあっても家族は彼らだけだから。

学費を支援したエピソードが終盤で出てきて少しほっこりとか思ったけどそんなんじゃカバーできないのよ。
それでもジャネットにとっては大事な思い出。
再会のシーンは感動しました。

不器用で自由でクレイジーなレックス。
娘の事をずっと思っていたなんて最期に分からせるのはズルい。
許されないようなことしてばっかりだったけどちょっと泣きそうになった。
もう少し違う方向に行動力を向けていれば幸せ家族になってたと思った。
ジャネットが全てを受け入れてまた成長し負の連鎖はここで断ち切られたと感じました。

ラストの"恵まれてる"って思えるのは大切だし素敵なこと。
どんな親からでも学ぶことはたくさんあるんだなって考えちゃいました。


ウディハレルソンのろくでなし具合が半端ない。
何度イラついたことか。
こういう役ピッタリすぎ。
ナオミワッツも廃れた女を完璧に演じてました。
そんでやっぱりブリーラーソンは強い女性が似合う!

この監督の作品は全部好き。
ブリーラーソンとのタッグまた見たい。
おたしん

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