エクストリームマン

BLAME!(ブラム)のエクストリームマンのレビュー・感想・評価

BLAME!(ブラム)(2017年製作の映画)
3.7
『BLAME!』が映像化したとのことで、取り敢えず観ないわけにはいかないなと。

※以下ネタバレあり

物語はオリジナルで、増殖し続ける都市を旅する霧亥がいつかどこかで……という。番外編的な。まぁ、原作を全編映像化するわけにもいかないだろうし、そのまま映像化しても面白くならないだろうから賢明な判断なんだろうけど、当然わかりやすく整理することによって失われたものもないわけではない、という感じ。

唯一の食料である「ドロドロ」を求めて塗布防電装置に守られた村から遠く遠征していた電基漁師たちが、セーフガードに襲われたろころをネット端末接続遺伝子を探す霧亥に遭遇して助けられ、彼をそのまま村に迎え入れるところから物語は始まる。まぁ、完全に西部劇、だよね。流れ者のガン(重力子放射線射出装置)マン霧亥が圧政を敷く市長(セーフガード)と悪漢(サナカン)から村人を守る、的な。

残念だったところ。大量のセーフガードがワサワサ襲ってくるところとかなかなか絶望感あっていいと思うけど、一方で「気がついたら隣のやつ死んでた」っていう弐瓶勉漫画の世界的な絶望要素は薄めだったな。メインの登場人物の生存率も高かった。あと珪素生物が出てこなかったのが残念。設定資料集に載ってたアイツが動いて喋ってるところ観たかった。

映画の構造上仕方ないことなんだろうけど、外部の人間に生まれてから一度も会ったことない人たちが割りとすんなり霧亥を受け入れて、聞いてもないのにペラペラ色々なこと喋るのにはどうも違和感がある。霧亥が喋らないから周囲に喋らせるしかないは当然なんだけど。

画面がちゃんと映画のサイズだったことと、音響は評価したい。どれとは言わないけど、最近の劇場公開のアニメは16:9で作ってるものが多すぎる。BD売りたいだけなら最初からBDだけ出せよと。それはいいとして。音響は重力子放射線射出装置の発射音が特に良くて、映画館で聞かないと意味ないくらいの圧があった。静かな場面で余計な効果音付けすぎてるのを差し引いても音響は良かったと言える。広い空間に出た時、もっと奥行きを出すような画作りしてくれたら、映画サイズの画角をより活かせた気もするけど、それもまぁそんなものか。

CGキャラクターの挙動って、「違和感のない人間らしい反応」みたいなものされると違和感出る気がした。群衆が反応するところとか。逆にリビルドされたシボは挙動も含めてとてもよくて、あのCGモデルが延々歩いてるだけの動画とか、いつまでも観ていられそう。シボは設定資料集でも結構な頁が割かれていて、弐瓶勉のフェティッシュが詰まっている造形。統治局と並んで本作で好きなデザイン。

あと、作り込みの問題なのかもしれないけどCGキャラクターは顔のアップが厳しい。画なら、上手ければアップに絶えられる魅力が出せるけど、CGキャラクターだとその辺どうもなぁ。あ、でもやっぱり、これは作り込みの問題か。実写でもアップ耐えられないことなんてよくあるし。

今回の映画が売れて(Netflixで沢山視聴されて?)、今後も更にブラッシュアップされたものが作られていけばいいなと思う。アニメと漫画で絵柄が共鳴して相互に変化し続けてる作家なんてあまりいないし。