ブタブタ

スプリットのブタブタのネタバレレビュー・内容・結末

スプリット(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

『ヴィレッジ』以来実に13年ぶりの劇場でのシャマラン作品鑑賞。自分は『ヴィレッジ』を最後にシャマラン監督を見限ってしまったので偉そうにシャマラン論を語る資格は全くないのですが『ヴィジット』の「シャマラン完全復活!」の声もあんまり信用出来なくて「昔好きだった相手が元気で頑張ってる」位にしか感じられず、もう自分はシャマラン作品を見る事はないのだろうと漠然と思っていたのでした(←偉そうに何様だ!(笑))


シャマラン作品では『アンブレイカブル』が1番好きでした。
同時期に公開された『X-MEN』第1作よりX-MEN的な世界観を持ってる作品だと思いました。
超常能力者は一見普通の人間であり、人間社会の中で普通に暮らしている。
楳図かずお『わたしは真悟』に「奇跡は誰にでも起きる。しかし奇跡が起きた事は誰も気づかない」と言う言葉が出てきて、『わたしは真悟』
では主人公の少年少女の行動によって新生命体「慎吾」が誕生するのですが『アンブレイカブル』は人知れず何処かで正義の悪の戦いが延々と続いていてそれが「アメコミ」という「現代アメリカ神話」の形で語られている。
超人的な力を持ったスーパーヒーローと言う「奇跡」が存在しているのに殆どの人は気付かない。

『アンブレイカブル』がセントリーマンとMr.ガラスの言わば「バットマンとジョーカー」みたいなヒーローとヴィランの誕生譚とすれば『スプリット』はヴィラン、ビーストの誕生譚。
あのMr.グラスが仕掛けた列車事故によってデヴィッド・ダン(ブルース・ウィルス)が選ばれし者=ヒーローである事が判明し、父親を失ったケビン(ジェームズ・マカヴォイ)が母親に虐待を受ける事によって多重人格を発症、超常的な能力を持つに至りヴィラン、ビーストになる。
ラストに現れたダン=セントリーマンとビーストが激突する次回作『glass』が今から本当に楽しみです。
欲を言えばエンドロール後、字だけの予告だけでなく『アンブレイカブル』のあの壁がアメコミだらけのコミックショップに佇むMr.ガラス(サミュエルLジャクソン)が登場したら嬉しかったです。

シャマラン監督と同じ様に才能がありながらその制作システムや現場をコントロール出来ずハリウッド大作を撮るも失敗した『クロニクル』のジョシュ・トランク監督。
『ファンタスティック・フォー』でトランク監督はクローネンバーグの影響や「病理や精神の変容としての超能力」を語っていたのですが結果は残念な事になってしまって、この「ダークなX-MEN」とも言うべき世界やマーベルDCとは全く違うアメコミヒーロー映画をシャマラン監督ならやってくれるのでは、と期待しています。

次回作『glass』はシャマラン監督曰く「クレイジーなヒーローコミック映画」との事で、アメリカの神話である「アメコミ」がマーベル、DCとは違う切り口で描かれるのだと期待しますがブライアン・シンガー監督『スーパーマン・リターンズ』公開時、スーパーマンのリブート失敗を受けて「シャマランこそアメコミを撮るべきだ」との意見を読んだのですが、例えば今DC等にシャマラン監督が招聘されて大作のアメコミ映画を撮ったとしても嘗ての『エアベンダー』の様な無残な結果に終わる事は想像に難くないので(悲笑)シャマラン監督は自分の好きに完璧なコントロール下で「クレイジーなヒーローコミック映画」を撮って欲しいです。

『アンブレイカブル』×『スプリット』そして『glass』で三部作完結らしいのですが、『glass』を起点としてシャマラン・ユニバース(?)を展開して欲しいです。

マーベルCU、DCエクステンデッドユニバース、ゴジラのモンスターユニバースに続いて何やら『ザ・マミー』からダーク・ユニバース迄始まる様ですが、MCUに於けるS.H.I.E.L.D.、モンスターユニバースのモナーク、ダーク・ユニバースではジキル博士(ラッセル・クロウ)率いるブロディジアムなる組織が登場してるのでシャマラン・ユニバース(?)では『シックス・センス』の霊能力少年(ハーレイ・ジョエル・オスメント)が超常現象を調査する秘密機関の長として登場して来たら超弩級のサプライズになると思うのですが。
ブタブタ

ブタブタ