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スプリットのkouのレビュー・感想・評価

スプリット(2017年製作の映画)
3.5
《傷を持った者同士》
シャマラン監督最新作。ジェームズ・マカヴォイ主演。あまりシャマランの作品を見てこなかったのだが、いくつか過去作を観た状態での鑑賞。ハラハラする展開、そしてラストまで面白い作品だった。

女子高生3人がケヴィンという多重人格者に監禁される所から物語は始まる。ケヴィンは23人の人格を持ち、監禁された女子高生が姿を見るたびに人格が変わっている。それは性別や年令もバラバラで、時にある人格が他の人格のふりをしていたりもするのだ。その複雑な部分をジェームズ・マカヴォイが好演していて素晴らしかった。また、ヒロインのホラー映えする表情含めキャストが良かったと思う。

今作もシャマランの一貫したエッセンスが含まれている。つまり社会から離された者同士の交流、そして傷ついたものだけがわかり合うことができるという部分だ。シャマラン自身の経験からなのかわからないが、本作にもその要素が含まれている。そしてそれは、ケイシーの過去と現在の事象を交互に見せ、ラストでそれが繋がることで、感動を生む展開にもなっているのだ。

24人目の人格の件もやはりシャマランらしくて、必ず超常現象的な方向へ振れる。その展開もとてもこの監督らしいなと思いながら楽しめた。

ラストの展開は驚かされたが、正直ストーリーの根本とは関係のない部分だと思う。あまり伏線を回収するみたいな感じではないのが良かったと思う。今後のシャマランの作品にますます期待値が上がる。
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