Inagaquilala

WE ARE XのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

WE ARE X(2016年製作の映画)
4.0
ハリウッド製の「X JAPAN」のドキュメンタリーだということで、とくに彼らの熱心なファンでもないのだが、劇場へ。

観て、驚いた。

まず、X JAPANのYOSHIKIは、全編、英語で話している。これだけでアメリカのスタッフがつくった作品なのだということが伝わって来る。

そして、ふつうこの手のドキュメンタリーではアーティストたちの演奏シーンがかなりの部分を占めるのだが、それらは極力サワリだけで、フルコーラスで流れることはない。

その代わり、10歳のときに自殺で父親を喪っているYOSHIKIの心境や、ToshIの洗脳にまつわる顛末、解散直後に起きたHIDEの突然の死など、X JAPANにまつわる「負」の部分にまでしっかりとマイクとカメラを向け、念願のニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデンでのコンサートとオーバーラップさせながら描いてみせる。

製作陣はアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」のスタッフで、監督はドキュメンタリーで多くの実績を持つスティーヴン・キジャック、去年のサンダンス映画祭では最優秀編集賞を受賞し、海外の数多くの映画祭にも出品されているというのも、まったくうなづける。

手垢のついた言葉で言えば、X JAPANのメンバーの人間ドラマにまで踏み込んだ迫真のドキュメンタリーなのだ。

音楽アーティストを取り上げたドキュメンタリーはこれまでたくさん観てきたが、これは間違いなくランク上位を占める作品になっている。

幼なじみのYOSHIKIとToshIが和解し、グループが再結成され、いままた海外でも高く評価をされているというが、これまであまり彼らの音楽を聴いてこなかった自分でも、新たに耳を傾けてみたい、そう思わせるドキュメンタリー作品だった。
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