OneEyedJOKER

ソウル・ステーション パンデミックのOneEyedJOKERのレビュー・感想・評価

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ヨン・サンホ監督によるゾンビ映画の大傑作【新感染 ファイナル・エクスプレス】で、ソウル発 釜山行きのKTXが出発する数時間前を描く、文字通りの前日譚。

日本、韓国ともに【新感染】の後に遅れて公開されたが、実際はアニメーション作品の本作が先に作られ、続編として実写作品が企画されたというユニークな経緯を持っている。

未観の【新感染】と【ソウル〜】この2作のディスクを目の前にして、ならば制作順に見てやろうとまず本作の鑑賞に至る。

正直申しまして、嫌〜な展開が地味に続く拷問のような作品で、マジでゲッソリしたというか…。
ただ、ここまで嫌〜な内容だと、何だかもう清々しさも感じられて、映画としてはかなり好きという不思議な感覚。

本作は、かなりストレスの溜まる作りになっている。
通常のゾンビ映画だと「こうやって生き残ろう!」的な燃えてます展開が用意されているものが一般的だが、本作の主人公ヘスンは泣きながら逃げ惑うだけだし、行動をともにするホームレスも頼りになるオーラはゼロ。

本作品、非常に偏った話になっている。
警察とか消防や医療関係者とか働いている最中の人間をのぞくと、登場人物らはまともな生活ができている人間が殆どいない。

そんな、社会の底辺に生きる人間たちが、劇中でどのように扱われているかを描くことで、韓国社会を風刺しているのではと深読みさえしてしまう。そういう意味ではゾンビ映画というよりは、社会派ドラマと言えなくもないかもしれない。

これは、【新感染】の方を 本作品と比較・混合させながら観るしかないな。
両作鑑賞して成り立つ作品でしょうな。

嫌いでは無かったが、ゾンビはやっぱり実写がいいな…なんて…。
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