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ドリームのbutasuのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
2.5
こういう映画って褒めないといけない風潮があってしんどい。いや決して悪い映画ではないのだが、実話の割には予定調和の連続で、「メイン3人の黒人女性がすごく賢い!たくましい!」「差別は良くない!」というメッセージ性だけが全面に押し出されている映画。あとケビン・コスナーは本当にずるい。

実話をもとに脚色された映画なのだが、その"脚色"の部分がいちいち大仰でわざとらしく、押しつけがましさすら感じてどうにも苦手だった。キャストも良いしテーマも良いのだから、もうちょっと落ち着いた作りにしても良かったのではないだろうか。実際には主人公が配属された当時のNASAには既に人種差別的な設備はなかったらしいし(あのトイレに長々と毎回走るシーンはこの映画の象徴なのに!ということは当然トイレの看板を叩き壊すケビン・コスナーのシーンも嘘)、昇進させてもらえないキャラは普通に昇進していたらしいし、学位を取るために奮闘するキャラは普通に工学の学位を持っていたらしいし、当日発射の寸前に計算をやってのけた主人公は実際には数日前から計算していたらしいし、そもそもこの人は「NASAでの差別は感じなかった」と語っているらしい。あれ?それじゃあこの映画のメインのシーンは全部作り話じゃないの?これで実話を名乗って良いの?まぁ現代社会で"黒人""女性"というポリコレ真正面の映画を撮るということは、こういう映画を撮るってことなんだろうなぁ。

ただ、「私には偏見が無い」という白人女性に対し「知っている、あなたがそう思いこんでいることは」と返すシーンは強烈で好き。
あと邦題は本当に酷いね。
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