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ドリームのkouのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.5
《戦うのは頭脳》
素晴らしい映画を見たな、きっと本作を見終えた人は全員そう思うはずだ。誰もが、今作を観て感動できる、というのがこの映画の素晴らしさであり、そしてまた感動的なところでもある。監督セオドア・メルフィ、主演がタラジ・P・ヘンソン。

1961年.アメリカ南部では白人と有色人種の分離政策が行われている。NASAのラングレー研究所では優秀な頭脳を持つ黒人女性が働いていた。しかし、リーダーであるドロシーは黒人という事が理由で管理職へなれず、技術部に転属されたメアリーはエンジニアになろうとしても学校へ入ることが出来ない。キャシーは研究本部の計算メンバーになるが、白人男性だけの職場で周りの目は厳しい。彼女たちは苦境に立たされながらも自分たちの道を切り開いていく。

差別の問題を扱っているのだが、映画全体がとても明るく清々しい。それは結局のところ、主役である三人の女性がとても前向きであるからなのだ。腐ることなく自分にできること、制限にとらわれず、有人宇宙飛行を成功させるために努力していくのだ。

彼女たちは差別や逆境に対してウィットに富んだ会話、相手以上の知識をもって会話をする。それは会話と頭脳というのを武器にして、とても知的な戦い方だと思う。例え偏見があっても、実力はいつか報われる時が来る。その時まで準備と努力をしている姿勢。今作は仕事をする人達なら誰しも考えさせられる部分があるのではないか。

とても感動的なラストへ向かって、しっかりとプロセスを組んで見せていく。良作というにふさわしい一本。何よりも女性の感想を聞いてみたい。今年は「ワンダーウーマン」「エル」「ドリーム」と女性を主人公にした素晴らしい作品が多くてうれしい。感動的な一作だった。
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