こたつむり

ウエストワールドのこたつむりのレビュー・感想・評価

ウエストワールド(1973年製作の映画)
3.6
★ 浪漫 傲慢 称賛 冗談
  おまえの頬っぺた まっかっか
  無限 有限 銃剣 執念
  おまえのお尻も まっかっか

ウェルカム・トゥ・ウエストワールド!
今日は酒場で決闘。
明日は華麗に銀行強盗。
ここでは現実では味わえない体験が待っています。相手はロボットですから生かすも殺すもあなた次第。さあ、銃を片手に西部劇の世界を楽しみましょう!

…なんて娯楽施設を描いた物語。
一応、時代設定は近未来ですが、コンピュータが介在する場面は少なく、VR系ではないのが時代を感じます。特に着替える場面は「あの衣装は使い回しなのかな…?」なんて考えてしまうほど。

ただ、一日の滞在費が1000ドルですからね。
基本的には裕福な大人向けの施設。飲めや歌えやの乱痴気騒ぎから、夜のムフフな体験まで兼ね備えていますから18歳未満はお断りなのです。

しかし、子供向けではない娯楽は“歓楽”となり“陥落”するのが定番。人間という生き物は、すぐに“万物の神”を気取りますからね。適度な間隔で「謙虚であれ」と啓蒙しなければならないのです。

だから、本作を仕上げたマイケル・クライトン監督は『ジュラシック・パーク』の脚本で同じテーマを執筆したのでしょう。やはり、人間って業が深い生物ですな。

まあ、そんなわけで。
「驕る平家は久しからず」なんて言いたくなる作品。特殊技術だけに頼らず、客と運営の両方の視点を交互に入れるなどの工夫がキラリと光った佳作でした。

また「主人公が誰なのかを明確にしていないのが面白いなあ」とも思ったのですが、なんと執念のロボットを演じたユル・ブリンナーが主演だと後から知りました。なるほど。製作者は最初から人間側に立っていなかったのです。やはり、この監督さんは徹底的ですね。

最後に余談として。
本作から連想したのが、藤子・F・不二雄先生の短編『休日のガンマン』。本作と同じ年に発表されているのですが、もしかしたら、着想の起点は同じだったのかも…なんて考えると面白い話。実際はどうだったのかな?
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