イチロヲ

ベッド・パートナーのイチロヲのレビュー・感想・評価

ベッド・パートナー(1988年製作の映画)
3.5
異性との交際経験が少ない生真面目なキャリアウーマン(広田今日子)が、自由奔放な同僚女性(高樹陽子)に変装することで、もう一つの生活を満喫していく。仕事一筋の女性が「性の歓び」を覚えるまでを描いている、日活ロマンポルノ。

本作の主人公は、女性向けのデリヘルを利用している人物として登場。「性風俗(恋愛が不必要な世界)を利用する余裕はあるけれど、真剣な交際(恋愛が必要な世界)には消極的」という、男性にありがちな心理状態を女性に置き換えた内容になっている。

変装がバレるかどうかのサスペンスと、同僚を装っている主人公の葛藤劇が叙情的に繰り広げられる。とりわけ、慕っている男性に対して、本物の自分と虚構の自分を天秤に掛けさせる展開には胸が締め付けられる。

1988年5月28日封切りとなる本作と「ラブ・ゲームは終わらない」(金澤克次監督)の併映が、ロマンポルノの最終作。最後にふさわしい作品かどうかは判断できないが、「性」を堅実に語っているドラマでの幕引きは美しい。
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