ユンファ

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 アルティメット・エディションのユンファのレビュー・感想・評価

5.0
ザック・スナイダーの最高傑作にして、アメコミ映画史に残る大傑作!!と言ってるのはオレだけで、世評はメチャクチャ悪い。
何故だ?この映画の何処がどうクソだっていうんだ??
「長い」とか「退屈」とか言ってるお前らは更に長い、そして更に超超超面白いこのアルティメット・エディションは観たのか??

まあ、たしかに異様に長いし、ストーリーは遅々として進まない。だが、むしろそこがいい。
ストーリーそっちのけで、徹底的に積み上げられる心理描写。長い尺のほとんどが心象風景の具現化に費やされ、そこから苦悩や葛藤が、ドラマが生まれ、やがてストーリーが動き出すわけだが、実際のところアメコミヒーロー映画のストーリーなんてどれも大差ないわけだから、演出過剰とも言える本作の姿勢は圧倒的に正しい。

と言いつつ、実はこのストーリーも中々良い。開始数分で「マン・オブ・スティール」の街破壊し過ぎ問題を自ら取り上げ、『今から前作のアンチテーゼをやります』と高らかに宣言してみせるのだから、面白いじゃあないか。
クライマックスのマーサ問題にしても、行動理念の異なる面倒くさいオッサンたちがお互いの共通項を偶然発見することによって対立が鎮静化するというのは、無理矢理和解を描くより余程リアリティが感じられる。

あと、冒頭のバットマン誕生がとても良い。
銃口へのフォーカス、飛び散る真珠のネックレス、眼前で事切れる両親、その事実を受け入れられず駆け出す幼いブルース、そして蝙蝠との邂逅と闇から光への上昇。この数分だけでバットマンを全く知らない観客にもそのオリジンが伝わる素晴らしいオープニングだし、地下からの上昇はラストカットへも繋がるので本当に上手い。

キャラクターとしては、新しいルーサー像を提示したジェシー・アイゼンバーグ版のレックス・ルーサーが良い。独自の理念と価値観を持って行動している魅力的な悪役で、ある種のカリスマ性があって、その振る舞いや佇まいから、ビジネスでも大きな成功をおさめていることが分かる。
それから、やはりガル・ガドットのワンダーウーマン。最後の最後にバットマンよりもスーパーマンよりも美味しいところを持っていくのが、芯の強さを感じさせる美しき女戦士であることはある意味タイトル詐欺であり、マッチョマンが殴り合うだけの映画には絶対にさせないという作り手の強い意思を感じる。

バットマンがいることで、CGばかりのアクションではなく、泥臭い肉弾戦がガッツリ見られるのも嬉しい。続く「ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット」も素晴らしい出来ではあるのだが、人間味のあるアクションが減ってしまったことは残念で、オレは本作のほうが好み。
バットマンやルーサー、軍関係者や議員など、「ジャスティス・リーグ」よりは本作のほうが人間や何の能力もない一般ピープルの視点が残されており、怪獣映画的な楽しみ方も出来るのは有り難い。

マジでどうしてこの映画がラジー賞なんだ?
何度観直しても最高なんだが。
ユンファ

ユンファ