Kuuta

GODZILLA 怪獣惑星のKuutaのレビュー・感想・評価

GODZILLA 怪獣惑星(2017年製作の映画)
3.2
ゴジラ映画の中には、X星人や怪獣同士が大乱闘を繰り広げる、リアルとは程遠い作品もある。日本の実写でそれを続けるのが苦しいのは明らかで、そっちの路線はハリウッドに譲るしか…と思っていたが、なるほどアニメにしてしまえば良いと。

汗臭い社会派なのか子供向けなのか大衆娯楽なのか、ぐちゃぐちゃになりがちだった旧シリーズを思えば、硬派寄りSFアクションに挑戦した今回のアプローチはシンゴジラとも棲み分けが出来ているし、「有り」だと思う。かつて東宝が目指し、実現できなかったエンターテイメントに挑んでいると言える。企画の精神に対して甘めの採点。

ただ残念ながら、私が見た劇場では大半がゴジラ好きっぽいおじさんで、入りも半分以下。若い新規層やアニメファンには全然届いていない雰囲気で、まさしく誰得感が漂っていた。

何よりも、肝心の中身が物足りない。
当たり前だが、アニメなので特撮のワクワクはない。前半かなり眠い。テンプレキャラの台詞の応酬に全く乗れなかった。

ゴジラが全然躍動しない。やはり都市破壊描写は見たかった。森しか出てこないのはちょっと…。最初に地球襲う場面をもう少しサービスしても良かったのでは。

美術も音楽も印象残らず。伊福部音楽はこの世界観だと合わないので外して正解かもしれない。

地球を離れた時間的重みや漂流の逼迫感がほとんど台詞でしか説明されないのが一番痛い。あっさり帰ってあっさり戦っているように見え、人類背負ってる感が無い。

ゴジラのせいで人類が故郷のみならず人間性までも失うという設定は面白いが、これもほとんど台詞でしか語られておらず残念。ど頭の姥捨山みたいのは良かったが。

ラストカットは破壊の化身感があって良かった。ゴジラを容赦ない暴力として振り切って描いているのは好感。後半の戦闘シーンは戦況に応じたスピード感があり、「人間対ゴジラ」の描写としては結構良い出来だったと思う。64点。
Kuuta

Kuuta