ユースケ

GODZILLA 怪獣惑星のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

GODZILLA 怪獣惑星(2017年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

【魔法少女まどか☆マギカ】や【PSYCHO-PASS】の虚淵玄が脚本を書き上げ、【シドニアの騎士】の静野孔文と瀬下寛之が監督を務めたアニメーション版【ゴジラ】(通称:アニゴジ)3部作の1作目である【ゴジラ】シリーズ第30弾は、約2万年後の変わり果てた地球を舞台に、ゴジラによって地球を追われた人類と地球の支配者となったゴジラとの戦いを描いたゴリゴリのSF映画。

【ノストラダムスの大予言】を思わせる20世紀最後の夏に、クトゥルフ神話を思わせる怪獣たちが地底や海底から姿を現わすアバンタイトルでテンションMAX。映像に登場するカマキラス、ドゴラ、オルガ、ゴジラは速攻でわかったのですが、まさか【モスラ2 海底の大決戦】のダガーラが登場するとは思いもしませんでした。X星人を思わせるエクシフとブラックホール第3惑星人を思わせるビルサルドの目的も、ラドンとアンギラスを葬ったヘドラ作戦の全容も、メカゴジラが起動しなかった理由も、気になって気になって最高でしたが、まさかアバンタイトルがクライマックスになるとは…

怪獣映画のキモであり、【ゴジラ】シリーズのキモである怪獣=ゴジラへの感情移入する事ができず、約2万年後の地球はジャングルしかないので怪獣が街を破壊する姿に興奮する事もできず、【進撃の巨人】のエレン・イェーガーを思わせる巨人の代わりにゴジラにキレっぱなしのハイテンションな主人公を筆頭に、人間関係を示すエピソードが全く描かれない登場人物には誰一人として感情移入する事もできず、謎が謎を呼ぶ3部作の第1章だとしても、これはちょっと厳しかったです。
ゴジラによって地球を追われた人類が移民先に選ばれた惑星に行ってみたら人間が住める環境じゃなかったり、移民先の惑星に到着するのに22年もかかったのにノーリスクの長距離亜空間航行で一瞬で地球に戻れたり、ツッコミどころ満載の雑な移民計画と雑な船内描写はまるでキムタク主演のポンコツ映画【SPACE BATTLESHIP ヤマト】のようでガッカリ。
ゴジラを倒したと思ったらそれはゴジラの亜種で、その6倍の300メートルのゴジラが現れ、超振動波攻撃とプラズマカッターで主人公が率いる部隊を一瞬で壊滅させたラストの絶望感は【魔法少女まどかマギカ】の第3話で巴マミをマミった虚淵玄っぽくて良かった思いますが、ガジェットも作戦も地味過ぎてあんまり盛り上がれませんでした。
人類が地球をゴジラに明け渡すまでの人類とゴジラの戦いを【ワールド・ウォー・Z】風のインタビュー形式で描いた前日譚である小説【GODZILLA -怪獣黙示録-】での保管ありきの映画じゃ微妙ですね。

最後に、【ゴジラ】シリーズを散々見てきた私が思う怪獣映画の本質、それは怪獣への愛情。街を壊して観客を笑顔にする怪獣映画は観客を罵って観客を笑顔にする毒蝮三太夫や綾小路きみまろの芸と同じく、観客が彼等を愛していなけれは成り立たない世界なのです。