レオン

遠い夜明けのレオンのレビュー・感想・評価

遠い夜明け(1987年製作の映画)
3.7
見逃し高評価作品(平均★3.9 アマプラ見放題) 
反アパルトヘイトの運動家(デンゼル)と、それを援助した新聞記者(クライン)の物語だが、前半と後半が全く違うタッチの作品だった。
尚、ヤフー映画の★平均はさらに上の★4.2

余談だが、私が見た30本ほどのデンゼル主演作で、今作が彼が一番若い時の作品で、まだ往年の出演作ほど目に眼力がなく、仲間と談笑するシーン等は普通の黒人俳優に見えた。 
彼の目は大きいが、上まぶたが少し腫れてるように見える一重目で、似てる人物は滅多にいない(強いて言えばシドニー・ポワチエぐらい)独特の存在感があり、凝視するだけで正義感や知性も感じさせる。 それが今作では普通に二重まぶたに見えるシーンも多々あり、それらをあまり感じなかった。

作品冒頭、居住区を急襲する政府による暴動描写等はドキュメンタリーに見えるほどシリアスで、その後も淡々と物語が進む。 が、中盤まではいまいち主演二人の心情が強く表現されていると思うシーンなく、私的にそれほどの好評価を感じない。

↓ネタバレ含む


が、ビコ(デンゼル)が投獄されてから物語が大きく動く。 監房内のリンチにより重篤になったビコを荷物でも運ぶかのような状態で移送して、自らハンガーストライキでの死亡と嘘発表。 
それまで、見る者の目と頭は動いていたが、警察の態度に怒りと、脳障害の可能性ある人をガタゴト揺らして運ぶシーンに絶望感など、初めて"心"も動き出す。 

その事実を発表するが為の、クライン家族の亡命脱出劇が始まり、今度は緊張感とハラハラ感の連続に時が早く進む。 
だが個人的にケビン・クラインという役者にあまり魅力を感じない。 目の表情にあまり変化なく、心奥底の心情を演じ得ない役者さんと感じるから。 (ブラッドリー・クーパーも同様に思う)
神父の衣装で、暴徒をいさめるシーン等は、笑ってしまったシーンなのだが、他の役者でもっと上手い人がいるだろうな~と思ってしまった・・。

このウッズ記者が書いた物語が本作になっている訳だが、ビコの事実が発表された後の"世間の反応"が描かれてなく、突然始まった学生らのデモを、悲惨に鎮圧するシーンに交えて、亡命飛行機の無事入国シーンで終わる。

このデモに関しても、なぜ子供や学生が多く参加してるのか等、発端の説明が全くない。 
客観的にうがった見方をすれば、このラストの凄惨な銃撃鎮圧シーンと、ビコの無残な死でかなりシンパシーを増し、高評価に繋がっていると感じる。

かなりの力作で、アパルトヘイト政策を知る上で重要な作品と思うが、映画としての魅力は私的に★4には届かずの評価に。
(アカデミー賞の対象にピッタリの作品だが、作品・脚本・監督など主要な賞にはノミネートさえされていない。)
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