さうすぽー

アシュラのさうすぽーのレビュー・感想・評価

アシュラ(2016年製作の映画)
4.5
自己満足点 89点

アウトレイジが「全員悪人」ならば、
この映画は「全員狂人」です!(笑)

自分は今回、初めて観ました。
韓国のノワール映画は凄く好きですが、その中でもかなり上位に組み込むかと思います。
はい、この映画大好きです!(笑)


韓国の大作映画と言えば過激なバイオレンス・アクションが主流ですが、この映画に関してはキャラクターがとても良い!


チョン・ウソン演じる悪徳刑事のドギョンは病気の妻のために悪徳市長の犬になっていますが、結構汚いこともやっていますし、終盤のグラスのシーンは本当にブッ飛んでます(笑)

また、悪徳市長パク・ソンベを演じたファン・ジョンミンは自分が最も好きな韓国俳優の一人ですが、今までで一番強烈なキャラクターかもしれません!
奴はもう、自分の利益のためなら"何だって"する男。
文字通り、"何だって"です。
始めからイカれてるのに展開が進むほどイカれ具合が進化していくので、最早サイコパスですね(笑)
演じたファン・ジョンミンは本当に圧巻です!

そして、チョン・ウソンの部下を演じたチュ・ジフン。
彼は昔、韓国ドラマによく出演していたアイドル俳優のような感じでしたが、この映画を観て「化けた!」と感じます。
市長パク・ソンベに見初められた事で変貌していく様が良く、チョン・ウソンをどこか見下したような表情も良かったです。

また、検事を演じたクァク・ドウォンやチョン・マンシクも冷酷な感じが出ていて良かったです。


中盤のカーアクションはどうやって撮ったのでしょうか?
カメラの視点が凄すぎて、ただただ圧倒するばかりです。
二つの車を交互に映して、ノーカットで運転席までカメラが入っていくので、車のフロントガラスは恐らくCGかもしれません。
そこに雨も降っているので、非常に美しいカーアクションでした!

終盤のバイオレンスシーンも他の映画の中でもハードで本当に修羅場なのでエグいですが、かなり痛快でした!


この映画で面白いのは主人公が強者の"犬"であり、弱者であることです。
その弱者が強者同士の板挟みに合い、反撃していく話です。
そういった主人公はノワール映画の中でも結構珍しいと思います。
弱者にしたことで、この映画を盛り上げた大きなポイントかと思います。

韓国映画は社会派の作品が多いので、作品によっては少し疲れるものもありますが、今作は社会派の側面もありつつ登場人物が非常に個性的でブッ飛んでる上にアクションもハードなので気軽に観れました。

良い意味でそんなに頭を使わなくて済む映画なので、社会派が好きな人でも苦手な方でも是非オススメです!