Kuuta

君の名前で僕を呼んでのKuutaのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.7
序盤はイタリア旅行したいなー綺麗だなーくらいのテンションだったが、中盤以降、エリオ以外の視点が入って来てから徐々に引き込まれた。エリオの後ろにオリバーの表情が隠れているポスターがニクい。

単なるエリオの甘酸っぱい恋物語でなく、オリバーから父親へと、3世代にまたがる出会いと別れのお話だった。
それが示されるラスト近くの親父の名言連発っぷり。ゲイという要素を超えた、人間としての普遍的なメッセージだと思うし、あの言葉一つ一つがエピローグのエリオの表情に繋がっている。

心と身体は、時間と共にどうしたって衰える運命にある。だからこそ今しか出来ない経験があって、そこから得た感情も、若々しい肉体的な美も、体験としては一瞬だけれども、自分の心はもちろん、例えば言語や彫刻といった文化に形を変えて(エリオの場合は音楽だろう)、未来永劫残り続ける。
全然ジャンルは違うが「ちはやふる-結び-」で、百人一首の世界と現代の高校生の瑞々しい恋を紐付けた手法も連想した。

あと、互いに自分の名前を呼んで存在を補完し合う場面は完全にヘドウィグアンドアングリーインチの「The Origin of Love」だなあと(あれもギリシャ神話だった)。

ダンス中にエリオがフレームインする所で泣きそうになった。握手シーンを終盤にもう一度入れるのも気が利いている。74点。
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