イチロヲ

戦後残酷物語のイチロヲのレビュー・感想・評価

戦後残酷物語(1968年製作の映画)
3.5
在日進駐軍による強姦被害を受けた女性(路加奈子)が、パンパンとの交流を通して、生き抜くための術を学んでいく。戦後混乱期のウーマンリブを題材にしている、エロティック・ドラマ。小野年子と五島勉の同名小説を原作に取っている。

大勢の外国人キャストを起用することにより、「合法的な強姦組織」を演出している作品。「肉体の門」の原作小説が著された時点では不可能だった「GHQによる負の描写」が、本作では直接的に描かれている。

進駐軍の兵士たちが「女とヤリたいだけのゾンビ状態」になっているため、多分にギャグ要素が働いている。「ヤラセテクダサーイ!」を連呼しながら、足並み揃えて行進してくる感覚に笑わせられる。

戦後混乱期をメインに据えたドラマだが、製作当時のベトナム情勢も一緒に取り入れながら、普遍性に満ちた女性ドラマを紡いでいる。「戦争に翻弄される女」をテーマに取った、模範的作品と言っても過言ではない。
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