道人

KING OF PRISM PRIDE the HEROの道人のレビュー・感想・評価

KING OF PRISM PRIDE the HERO(2017年製作の映画)
3.0
 カヅキ先輩が負けるわけねーだろ!…私の中ではカヅキが煌めきの王。
アレクはなんか凄いことになってたけど、次は鋼の肉体に鋼の心を宿して王座に挑んでほしい…待ってるぜ…!

 『KING OF PRISM PRIDE the HERO』「キンプリ」を一回観ただけの私でもある程度の耐性はできたのか、前作を観た時ほどの衝撃と興奮はなかったけれど、観ている間ずっと「!?」が続く楽しい作品でした。今回はプリズムショーをたくさん見られて満足。もっとみんなのプリズムショーが見たい。特にユキノジョウとミナトさんの。

 やっぱり人間関係など、初見には置いてけぼりな部分もたくさんあるんだけど(特にジュネは…)、プリズムの煌めきを受けてすくすく育つシンは相変わらす見ていて気持ちの良い少年だし、カヅキ先輩は相変わらず俺たちのカヅキ先輩だし、アレクの腹筋はオラついてるし、前作からの一見でも楽しいよ。

 今回のアレクの「暴走」は前回のカヅキとのバトルでの昂り、心が動かされたこと自体を、動揺・己の心の弱さと捉えて敗北感・屈辱感に変えてしまったが故だと思うんだけど、点数では表せないストーリート系の彼らがそれでもステージで競い合うのは、観客の心を動かし、その声援を己の力に変えて…何よりバトルを通じて高め合えるライバルたちと出会うためだと思うので、暴力じみた煌めきでねじ伏せるのではなく、フリーダムな煌めきでみんなをプリズム時空に解き放ったカヅキ先輩と、自分同様の熱量を放つタイガを見てアレクもきっと変わっていくだろう。
 王道でなく覇道を志すアレクは実は最も「目指すのは勝者じゃない、勇者」というキンプリを貫く何かをドラマチックに体現できる男じゃないかと思っているので、木刀どころか勇者王の剣や絶対王政の威厳をも弾き返せるぐらいの鋼鉄の6Packと共に、雄々しく挑戦者として戻ってきてほしい。待ってるぜアレク…!

 今回のカヅキ先輩はフリーダムさが突き抜けて悟りを開いたかのような凄みがあったぜ!プリズムスタァ達はみんな固有結界じみた煌めき時空を現出させる強者達だけど、カヅキのでっかいフリーダムさは現実の物質に干渉し、ものを創り出すレベル。己の心の自由さだけを追い求めるのではなく、観客みんなの心を解き放つカヅキ先輩、まじフリーダム。その剣は相手を切るためでなく、みんなの心を解き放つためにふるわれるんだぜ…。
 そしてあの剣をかざすポーズ…瞬時に「あ、創界山の勇者だ」って分かったけど、その勇者の名台詞まで聞けて、スタッフロールには「井内秀治」の名前まで…超面白カッコいいぜ!

 今回一番グッときたのは、すべてを乗り越えたヒロがステージに立ち「pride」で踊りだすシーン…その強い想いからガンダムF91の質量を持った残像ばりにコウジとカヅキの姿を持った煌めきを出現させてしまうシーンだったんですが、一瞬「ここは一人ですべてを背負い、プリンス一人で王座に挑むべきでは」と感じて「ヒロの心の弱さ」が生み出してしまったものなのではないかとも思ってしまったんですよ。でも要所は一人で観客を魅了するプリズムジャンプを飛び切り、振り返るとコウジがマントを、カヅキが剣を捧げて待っているわけですよ。そこで「あ、これは弱さなんかじゃない」と気付いた次第です。
 弱さじゃなくて、仲間への絶対の信頼と深い感謝が生み出した二人の幻影なんだな、と。彼らとの出会いが自分を王座への階段を歩ませる原動力、玉座に座れるのはただ一人でも、お前たちから受け取ったものを玉座まで持って行くんだと。カヅキからは心を解放し、挑戦し続ける象徴としての剣を、コウジからは逆風をも躍進の上昇気流へと変えてしまう、勇者の羽ばたきを体現するかのように美々しく翻るマントを…両者を受け取って階段を上るヒロ、なんて輝かしい絶対王政。そりゃあ、地球も黄色くなる…。パンがないならりんごとはちみつカレーを食べればいいじゃない…。

 今回はどう見ても「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし 」と大ババ様のナレが脳内で流れてきちゃうくらいランランララランランランなシーンがあるし、前述のローラースケートが得意な勇者ネタもあるし、年季の入ったオタクならまず間違いなく楽しめると思うんだけど、さらに歴史好きだとより一層楽しめますよ!ルイ14世からリンカーン大統領、そしてガガーリンまで…歴史上の名言たちがプリズムの煌めきにまみれて新生します!アイドルアニメで「朕」って言葉を聞くとは思わなかったよ!(笑)

 あ、今回の個人的な笑いどころは相変わらず最高に格好いい「EZ DO DANCE–K.O.P. REMIX-」のデーデッデとイカす重低音の前奏をバックにステージ上の仁王が「ドン!」「ドン!」と大写し→「EZ DO DANCE!」な所と(仁王チョイスは法月総裁の趣味なのか?)、冷が「すごい奴に出会っちまった」という回想シーンのワンショット。この煌めきの電車は聖の代からのエーデルローズのお家芸だったのか…!きらめく星座たちを背景にスタートレインに腰掛けてウィンクで投げキッスをかましてくれる聖…そりゃあオラついていた冷も「すげぇ!」ってなるわ…!

(´-`).。oO(なんでワタルネタを、と思ったんだけど、そういえばワタルの玩具ってタカラトミーの前身の一つ、タカラから出てましたもんね。そして監督の菱田正和さんは『超魔神英雄伝ワタル』に制作進行として関わっていたのか)

(´-`)。oO(私にとって、親愛の表現だとしても「男性同士のキス」描写はまだハードル高いなぁ、と思わされた作品でもありました。特に唇と唇のやつはなぁ…。私が「くちづけ」というものを絶対視・神聖視しすぎてるのかなぁ…あと女性向けアニメは謎の白い光じゃなくて謎の黒い影なんですね)

(´-`).。oO(プリズムキングカップの最前列の観客に二人の可愛い眼鏡っ娘確認。眼鏡っ娘じゃないけど、アレク編隊の腹筋爆撃の中、一人だけノリノリで喜んでる右端の女の子が面白かった)

【2017.06.20 劇場観賞】

【パンフレット】1200円
プリズムの煌めきを表すように、光を反射すると虹色の光沢が出る表紙の加工が綺麗。欲を言えば監督以外のスタッフインタビューも欲しかった(特にプリズムショー演出・京極さんのインタビューは読みたい)。あと、スタッフ・キャスト表を全部載せてくれないのはやっぱり減点です。
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