りょう

君の膵臓をたべたいのりょうのネタバレレビュー・内容・結末

君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

アニメを観て、原作を読んで、この映画を観ました。設定も人物の行動も無理だらけだし「お涙頂戴」と言われればそうだし、桜良の可愛さと健気さに萌えてるだけでしょと言われればそうかも知れないとも思いますが、アニメも原作も映画も好きでした。

この物語の長所は、ご都合主義に支配されていないところでしょうか。「余命幾ばくもない少女」には、普通の物語では、いろいろドラマチックなことが起こるはずですが、『君の膵臓 . . . 』では、全然理想的に物事が起きません。「僕」が都合よく桜良に対して恋に落ちるわけでもないし、ホテルでも両親のいない自宅でも上手くいかない。恭子との対立も解消されない。最後の「真実か挑戦か」によって、二人の心が繋がるわけでもない。

でも「日常」はそういうものでしょう。自分が余命幾ばくもないとしたら、やはり大切な人との日常を慈しむことになるだろうと思います。そういうことに気づかせてもらったのが新鮮でした。

結局は、自分もいつかは死ぬわけで、かけがいのない一瞬を大切にしなければ、自分と関わってくれている人々を大切にしなければ、という感じをもらえます。そういう悲しくて美しい映画だと思いました。

大人(小栗旬)の「僕」も高校生の(北村匠海)「僕」もヌボーっとした感じで、暗いなら暗いなりに何か心の動きとかを微妙に表現してくれるわけにはいかなかったんだろうか、という不満はあります。でも、まあ、「泣いていいですか?」の場面以外では、「僕」は受け身に徹していて、本当の主人公は桜良。ですので、大きな問題ではないとは思いました。
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