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時代劇は死なず ちゃんばら美学考のmitakosamaのレビュー・感想・評価

2.8
中島貞夫が監督と進行役を務め、山本千尋が聞き役となる、チャンバラを扱ったドキュメンタリー。

中島監督がマキノ雅弘の弟子であることもあり、日本映画の父である牧野省三に関するエピソードから。

歌舞伎などのチャンバラを再現するため、京都を舞台舞台にすることが多く撮影所が作られたこと。
歌舞伎界から映画独自のスターが産み出されたこと。
戦争を経て、長谷川一夫・歌右衛門から錦之助・勝新・雷蔵・橋蔵などスターの輩出。
映画評論家数人による解説。
殺陣師のインタビューなどを通じ、斬られ役の重要性。
松方弘樹による、父・近衛十四郎の思い出話。

そして中島監督による新規映像で時代劇のチャンバラアクションが描かれる。

率直な感想として、このドキュメンタリーは「答えが無いな」と思った。
「時代劇は死なず」と言いながら、具体的に時代劇が今後どうあるべきかが明言されていない。
ナルホド時代劇の歴史は面白かったが、昔は良かっただけでは、廃れた時代劇をもう一度復活させる為に何をすべきかが判らないではないか。

またチャンバラについての技術論ももう少し踏み込んで欲しかった。
様式美ある長谷川・歌右衛門に対し、凄みのある錦之助・勝新、ズバ抜けて上手くはないがサマになる雷蔵、チャンバラ史上最高峰と言われる近衛・若山など…
この辺の知識だけならみんな知ってるでしょ。ここが具体的にどう凄かったのか、それをもっと詳しく聞きたかったよ。
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