コメディとトラジディは表裏一体。
そのことは恋愛においても当てはまる。
この作品ではそういった男と女の関係において、普段は見えない、生き物としての本質みたいなものが、満月によって表層化してしまい、ちょっと哀しい、また馬鹿馬鹿しいとも思える事が起こっていく。
「ほら!二兎追うものはどちらも追えず、最後はそうなって、自業自得だ!」という、説教じみた落とし所にしていないのは、エリック・ロメール流の洒脱なテクスチャーで「いえいえ、人間なんてそんなもの。
男と女なんてそんなもの。」と言っているようで安心する。(実際には二兎追ってないのだけど。「二兎その気にさせる者は」… かな。)
パスカル・オジェ演じる、ルイーズの生き方が、「人間らしく、逞しい」と、私には映った。