Kuuta

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のKuutaのレビュー・感想・評価

4.6
内省人と外省人の対立や閉鎖的な学校。貧富の差が学校での力関係に直結する。小明は親戚を転々としているから、ああいう性格?小四は外省人のエリートとしての期待を背負っている。日本による占領の残り物が内紛を誘発する。映画の撮影所で手にした懐中電灯は、ささやかな個人の希望(小明という名前もライトのよう)。その懐中電灯を忘れた小四のラスト。

暗闇と光の対比とフィックスの多用。フルショットが多く、被写体から距離をとった客観的な目線。事実を再構成した密度の濃いドラマでなく、当時の生活をありのまま切り取った感じ。画角を固定する撮影が息苦しい現実を映し出す。

小四が最後の行動に出たのは、彼の「世界」があの瞬間全て敵になって牙を向いてきたから。彼が苦しみ抜いた「世界」を、あらゆる彼のバックグラウンドを映像化することに4時間を掛けている。92点。
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