つるみん

ムーンライトのつるみんのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.6
本年度アカデミー作品賞受賞という事で注目されていますが「プランB」制作という事で期待していました。前作でも『それでも夜は明ける』でアカデミー作品賞を受賞していたので映画界にとって目が離せない制作会社となりましたね。

如何にも低予算で作られているなと分かる映像の粒子の粗さが逆に効果的で僕は好きでした。手持ちカメラで360度の長回しショットや画面いっぱいにクロースアップする辺りなど低予算かつ過密スケジュールならではの撮り方でした。

月明かりに照らされたブルーの描写に哀しさと美しさが混ざり合う。マイノリティな環境で生まれた美しいラブストーリーとも言うべきであろうか。
話はシャロンという少年の小学生、高校生、成人と三部構成で描かれています。そしてこのポスターは3人の顔を合わせたモンタージュとして構成されているのですが本作を観た後に初めて気付きました。顔とかよく見ると似ていないのにパーツや雰囲気が物凄く似ていて、このようにシャロンは成長していったのだなとしっかり頭の中で整理が出来ました。

全体的に静かな映画で台詞も少ないため役者陣の演技力が目立ちました。シャロンを演じた3人の役者の瞳は勿論、特にアカデミー助演男優賞受賞したマハーシャラ・アリの存在感は計り知れないもの。また助演女優賞ノミネートのナオミ・ハリスの演技は圧巻。
役者全員が圧倒的な演技を見せ、詩的な少ない台詞も印象強かったです。

決して万人受けするような作品でない事は事実ですが黒人にスポットライトを当てた作品がここまで話題になり賞を総なめしたという意味でも映画界に新しい風を吹き込んだと言えるので是非観賞されて観てはいかがでしょうか。
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