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ムーンライトのsuのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.3
評価基準
1.人に薦められる (0.8)
2.手元に置いておきたい(0.5)
3.良い意味で裏切られた (0)
4.発見がある(1)
5.その他 (1)
最初のシーンの旋回するカメラワークは印象的だった。
フォビアについては、戦争が起こるかどうかと同じように真剣に考えなくてはならないのではないかと思う。科学が発達して、文明が豊かになったとしても、人間はそれらと足並みを合わせて豊かになるわけではない。経済的に豊かな国の、それも頭がよかったり、恵まれた人たちが音頭をとって、世界平和をうたう一方で、必ずしもそうではない人たちは、生きることに必死で、社会的な善悪がまだらになるような環境の中で暮らすひともいる。誰もが偏見の眼差しで社会を見渡し、権力のある人の意見が幅をきかせ、放蕩無頼漢がそうでない人をひまつぶしにこき下ろし、打たれたものは正しかろうとそうでなかろうと、屈折していく。種としての人間と社会的生き物としての人間のかくあるべき姿の間で葛藤し、それが澱のようになって屈託を重ねていく。これを観てたぶん、「ゲイを馬鹿にしてる」とか言う人もいるのだろう。「ゲイは気持ち悪い」って思う人も出てくるのかもしれない。でも、この作品で描かれていたのは、どこまでも自然で純朴な人間の姿でしかなかったと思う。
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