汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
雪が降る映画ではないのに。観たあとしばらくしてから、どういうわけか、中原中也の詩の、上記の一節が頭から離れない。悲しみがしずかにしずかに、音を立てずに降り積もるような映画だった。愛と悲しみは似ている。似ているというよりも、愛と悲しみは同じなのかもしれない。そんな風に思った。
シャロンはもう十分過ぎるほど傷つけられたりおとしめられたりして、ここまで生きてきた。それでも、シャロンの悲しみが汚れちまっているとは思わない。崇高・孤高な魂を抱えて生きている。母を赦し、愛を抱え、生きている。その姿が、いつまでも私の心に残っている。
本当に映像が美しい。いたるところにあるブルー。優しいピンク色の光。