マエストロR

女神の見えざる手のマエストロRのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.0
☆雑感
①「美人で有能だが過剰に挑発的・好戦的な女性主人公が俗物爺どもをブッた斬る」という作品群は本来苦手で、本作もそういう側面はあるのだが、充分すぎるほど楽しめた。
②駆け引きがスリリング。必殺の一撃は意外にシンプルなものなのかもしれないが、そこに至るまでの考え抜かれた戦略の見事なこと!👍これは現代の「釣り野伏」か?!
③勝つために手段を選ばないサイコパスの如きキャラ造型になっているが、フッと一人になった瞬間の寂しげな表情が随所に挿入されていて非常に効果的。
④感情のような不確定要素に基づいて動かないと断言しているが、信念に基づいて動くとも言っており、微妙なズレがある。また、ドライな仮面をかぶっているが実は激情家なのかと窺わせる場面もあり、ギャップの揺さぶりが巧い。
⑤憲法原理主義のような定型発言に対する一撃が痛快。誰もがモヤモヤ思っているが建前上、表舞台ではまず言えない発言。日本でもあんなことを言ったら表舞台に二度と立てなくなりそう。
⑥※ネタバレ要素をいくつかコメント欄に追加。

☆その他
ジェシカ・チャスティン以外、この役を演じているのが想像できないくらいハマっている。サイコパス的な狂った演技もさることながら、繊細さ、神経質さ、強さの裏に見え隠れする弱さのさじ加減が絶妙。

また、この女優さんはインタヴュー映像等を見ても落ち着いた物腰で誠実そうなのも好印象。