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薔薇は死んだのメルのレビュー・感想・評価

薔薇は死んだ(2015年製作の映画)
3.6
第一次世界大戦前のハンガリー、ブダペスト。
大きなバスケットが川に流されて、中から高級娼婦の死体が出てきた…という実話を元にした作品。

女の名はエルザ、高級娼婦のトップを極め彼女の右に出る者は居なかったという。
エルザは昔からの女友達を家政婦として雇い、大金持ちのパトロンと若い愛人を抱えていた。
そこへやって来た若く美しい家政婦見習の目を通して話は描かれる。

初めに死体があるのだから「犯人は誰だ」という謎解きで進むのだけどサスペンスとしてよりも人間関係とそれぞれの生き方の描写になっていて、何故彼女は殺されたか…がメインとなる。

どんな職業でもその道の頂点を極めるには努力と才能が必要で、パトロンから大金を出資させるエルザの技は見事。
新人家政婦への「胸を張って堂々としていなさい」というアドバイスは女性を美しく見せる大きなポイントだと納得してしまう。

実話ベースと言うので三面記事的な流れだけれど画面にはしっとりと水分を含んだ濃霧の街、冷気、妖しい美しさが入り混ざった88分だった。
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