ニャーすけ

スウィート17モンスターのニャーすけのネタバレレビュー・内容・結末

スウィート17モンスター(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

事前の予想より、良い意味でずっと陰鬱な映画だった。それはやはり、自己卑下の反動から他人を見下し、貶めるような言動を繰り返すネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)のキャラクター造形に由来するものだろう。このコンプレックスとルサンチマンにまみれた自分本位の幼さが、大人と子供の狭間にある17歳のリアリティとしてとても良い。

終盤、ネイディーンが初めて他者の心を理解するきっかけとなる兄との対話や、自己憐憫気質がそっくりな母親とのささやかな和解(さりげなく母親の成長をも描いているのが凄い)にはじんわり感動させられたが、彼女が一番深く傷つけたのは親友のクリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)のはずなのに、彼女たちの相克がなんとな〜くイイ感じの雰囲気だけで安易に処理されていたのは本当に残念。
幼なじみなど、親密な関係の友人同士ほど依存や所有欲、支配欲から来るパワーバランスが存在することは珍しくない。映画前半でそのおぞましさを克明に描いておきながら、ネイディーンがクリスタに向き合わぬまま話が終わってしまうのは明確な脚本上の不備だし、前半部のリアリズムが素晴らしかっただけに非常にもったいない。映画ではないが、少女ふたりの関係性の変化を繊細に描いたアドヴェンチャー・ゲームの大傑作『Life Is Strange』の爪の垢を煎じて飲んで欲しいと思ってしまった。

ネイディーンが唯一心を開いている変わり者の歴史教師、ブルーナーが都合良く本当にただのイイ人でしかなかったという展開もマジで無いわ……と思いつつ、演じるウディ・ハレルソンはやっぱり最高に面白いというのが実に複雑な気分。
あの人、どの映画で見てもいつも眠そうな目で肩の力の抜けきったチルい芝居してるけど、さてはあいつ現場でクサ吸ってんな?(かつてハレルソンは大麻合法化活動家としても有名でした)
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