乙郎さん

アンダー・ザ・シルバーレイクの乙郎さんのレビュー・感想・評価

3.0
まんまヒッチコックな劇伴や端正な画面などは素晴らしいが、やや長いのと演出が鈍重なこともあって正直に言えば好きな映画ではない。好きな映画ではないが、刺さった。
まず、アンドリュー・ガーフィールドという俳優は、童顔と長身というアンバランスさが特徴的なわけですが、この映画全体を通して、彼にはアンバランスな属性が纏わりつく。一つは探偵という「強」の属性。もう一つはポップカルチャーへの耽溺という「弱」の属性。「探偵」には現実を、「ポップカルチャー」には現実逃避を代表させてもいい。この二つのせめぎ合いでもって構成された作品と言っても過言ではない。ひょっとするとファムファタルはライリー・キーオではなく、ポップカルチャーそれ自身だったのかもしれない。
ポップカルチャーでいっぱいの場所が終焉を迎えるとともに映画が終わるのは圧倒的に正しく、あの場面での勘定の揺さぶられ方だけで忘れ難い映画となった。
乙郎さん

乙郎さん