このレビューはネタバレを含みます
30分弱のショートフィルムにここまで胸を打たれるとは…!
生きることは、ただ生存するだけではない。ワクワクやドキドキする感覚、スリル。そうしたものを感じずに「生きていて楽しい」なんて言えるだろうか。
登場する少女たちは、毎日つまらない。平凡な街で、平凡な人生を送り、キラキラした都会に出たいと思っても出られないことがわかっている。
だから、何か面白そうなことをする。カラオケではしゃぐのもそうだし、出会い系で呼び出した男をからかうのもそう。そして、プールに金魚を放つのも。
少女たちは確かに犯罪に該当することをしたし、世間的には非難されてしまうことをした。しかし、彼女たちの「つまらない!」という心の叫びは、同じようにどことないつまらなさを感じている私たちの心を打たずにはおかない。
生きることは生存(だけ)ではない。生きるって、ワクワクとドキドキだ。
…と言って締めたいと思ったがもう一言。最終的にプールが暗すぎて放った金魚が見えなかったというオチがあるのだが、それも思春期の少女たちが自分たちで何かを企てても往々にして上手くいかないものだということのメタファーでもある。思春期は無限の可能性があるが、実際には上手くいくことはほとんどない。そんな現実も、よく描いていたと思う。
本当に、とにかく面白かった。