自分がもし映画監督で一つだけ作品を作れるとしたら…それをモノクロ作品にする。だってセンチメンタルを強く表現できるのだから。
はっきり言って特に面白いことは起きない。久しぶりに会った元恋人同士の二人の会話劇。だけどそんな普通のことをセンチメンタルに映す技術はすごい。それがモノクロ映像だったり、効果的なピントぼかしだったり、脚本だったりする。
人は平静を装って素知らぬ顔で暮らしている。スーパーで偶然会った時の二人のように。
しかし、心の皮を一枚一枚剥がしていくと、そこに底知れぬ感情を持っている。そして、それがふとしたきっかけで溢れ出す。この物語では、偶然会った元恋人同士の1日のふれあいを通して、心がピーリングされて感情がむき出しになるそのフェーズの一つ一つが描かれているように思える。
ところで、例えばもし16歳の過去の二人に戻って二人が結ばれていたら…本当に幸せだったのだろうか?
それはそれで後悔していたのかもしれない。特に男の方は。恋人や家族に縛られた生活になってしまっていて後悔していたかもしれない。人は選ばなかった方の選択肢を過大評価するのかも。
マークデュプラス。映画"クリープ"シリーズに出ていた役者。イケメンではないけれどすごく味のある演技をする。
もうすぐ一時解約する Netflix の駆け込み見!?
隠れた名作に出会えてよかった。