ちろる

少女は悪魔を待ちわびてのちろるのレビュー・感想・評価

少女は悪魔を待ちわびて(2016年製作の映画)
3.5
警察官の父親を連続殺人鬼ギボムに殺されたヒジュ。
しかしギボムは証拠不十分のためたった1人の殺人でしか起訴されず、たった15年の服役となる。そのギボムの出所を控え、ある計画を実行することになる・・・

流石、陰鬱な韓国サスペンス。
全然スカッとしないこのまとわりつくような後味がこちらの作品にももちろんあります。

なによりもヒロインであるヒジュのキャラクター設定がいい、少し惚けたようなあどけない愛されキャラのヒジュが、ひとたび一人暮らす部屋に帰れば、黄色い付箋と、ぎっしりと書かれた文字と、床一面の犯行現場の写真や切り抜きを睨みつけて復讐の念を膨らませる。
その二面性を見つめながら、本来父が殺されなければ前者のみの笑顔で過ごすだけのヒジュでいられたと思うと切ない。
本来復讐で心を苛まれず、キラキラとした青春を謳歌できたはずである・・・

だか、事実は残酷である。
猟奇的な殺人鬼がたったの15年の刑務で反省し改心するはずもなく、ギボムもまたとある憎悪にまみれて世の中を見つめている。

恐ろしき殺人鬼と対峙するにはこちらも相応の覚悟が必要である。
同じく鬼となり、憎々しいギボムと向き合ったヒジュのその姿に呆然としてしまうのだが、この残酷なラストを避けることが本当はできたであろう警察の無力さにも苛立ちを覚えてしまったのは私だけではないはず。
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