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ニーゼと光のアトリエのクリームのレビュー・感想・評価

ニーゼと光のアトリエ(2015年製作の映画)
3.9
素敵な映画だと思います。ニーゼが患者の中に無防備で入って行く姿に不安を感じながら観ていたが、途中からそんな事忘れて応援していました。患者に人権の無かった当時、それを取り戻し、絵画を治療に生かしたニーゼ博士の実話は、感動的でした。ラストに実際の作品が流れますが、とても芸術的で驚きます。
1944年ブラジル、ニーゼ・ダ・シルヴェイラ博士が、愛と芸術を用いて今では当たり前の心理療法を確立するまでを描いています。人としての尊厳を無視され、虐待と人体実験のような治療が常識だった当時、彼女は個人と向き合い人を癒す治療法を見出すのでした。



ネタバレ↓



1940年代、患者への治療はロボトミー手術や電気ショック療法。 ニーゼは、看護師達と共に患者達に心のまま自由に絵を描かせた。彼等は少しずつ変わって行き、次第に絵は芸術的な作品になって行きます。美術評論家ペトローザは、彼等の描いた絵を高く評価し、展覧会等を開き、治療に役立っている事を世間に公表するべきだと助言します。彼等の絵が評価され、ニーゼの功績が脚光を浴び始めると、同僚達が妨害して来ます。治療の為、飼っていた犬達を許可なく殺してしまいました。治療が進んでいた患者達もパニックになります。穏やかになったはずの患者が看護師に襲い掛かり怪我を負わせてしまい、彼は担当医の判断で、ロボトミー手術を受けさせられる事になりました。そして、ニーゼは病院側に絶望を感じ、ペトローザの話を受け、患者達の作品を発表する展覧会を開き世間に知って貰う事に決めました。多くの人々が訪れ、人が持つ素晴らしい可能性を引き出すニーゼの治療法に賛同し、支持を集めるのでした。
最後にご本人のインタビューや患者達の写真、作品が流れます。作品は、芸術的で本当に素晴らしいものでした。心のままに感性で描いたそれらは、独創的で彼等にしか描けないだろうと思います。精神的に病んでしまったかも知れないけど、諦めなければ、こんな素晴らしい事も起きる。稀な事かも知れないけど、事実を目の当たりにして、感動しました。
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