Vega

ニーゼと光のアトリエのVegaのレビュー・感想・評価

ニーゼと光のアトリエ(2015年製作の映画)
4.3
「よく聞き、観察すること」
ニーゼが看護師を諭す言葉。それに添うように、統合失調症を患う人の声を聞きよく観察して作られた作品なのだろう。入院患者の視線や反応、動きがとてもリアルで、まずそのことに驚いてしまった。
スタッフは病院で2〜3ヶ月過ごし職員と寝食を共にし、患者さんたちとリハーサルを行なったという。アクションにカメラが付いていくというドキュメンタリーのような撮影も効いている。

1940年代、ブラジル。男性社会、権威主義の医療現場で、通例的に施される暴力的な治療に反旗を翻し信念を貫くことの苦難たるやいかばかりか。

陰鬱とした病院の中でニーゼのいる作業療法室はまさに光だった。そそぐ光のあたたかさにわが身も浄化されるようだった。

パンフレットにある最相葉月さんの寄稿文も良い。

私に力を与えてくれる心強い一作。
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