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残像のkamakurahのレビュー・感想・評価

残像(2016年製作の映画)
4.0
昨年10月に90歳で亡くなったアンジェイ・ワイダ監督の遺作。初日初回に岩波ホールで追悼鑑賞。館主岩波律子さんのご挨拶があり、ヤギュロン大学タデウシュ・ルベルスキ教授の前説付き上映。韜晦趣味に向かうことなく主題明快、映像も輪郭鮮明で感嘆の仕上がり。
個人の内心を奪う国家に未来なし。第2次大戦後のソビエト連邦下におかれたポーランドで、社会主義政権による圧制と闘い続けた実在の前衛画家、ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの生涯をまっすぐに描き切ることを通して我々に残したワイダ監督の上質、乾坤一擲の苛烈なメッセージ。偉大な映画人の尊い遺産として重く受け止めなければならない。岩波ホールの、そこここで聞こえたすすり泣き、大いに納得。上半期必見の一本。

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