にゃんこむ

グッバイ・クリストファー・ロビンのにゃんこむのレビュー・感想・評価

3.8
『プーと大人になった僕』をレンタルしたときに、こちらも新作レンタルで紹介されていたので鑑賞。

くまのプーさんを執筆したアラン・アレクサンダー・ミルンとその息子クリストファー・ロビン・ミルンを題材にしていた伝記映画。
『プーと大人になった僕』のような映画だと思って見ると痛い目に合うくらい沈鬱な内容です。

アランは1916年に徴兵され、両軍とも多大なる犠牲が出た中生きて生還するがPTSDを発症します。
反戦小説を書きたいアランでしたが、思うように筆が進まず、さらには乳母が休暇をとってしまったために、しぶしぶ息子のクリストファー・ロビンと二人きりで生活します。そんな中息子と触れ合ううちに、ある小説のアイディアを思いつきます。それが後に『くまのプーさん』です。
発売後は、世界中で大ヒットするのですが、反響がありすぎたせいで家族の生活は思わぬ方向へ向かってしまいます。

のんびりした世界の優しい童話の裏には、作者の反戦への願いが込められていたとは知りませんでした。

反戦の願いと、息子への愛情を示すために本を書き上げたアラン。
”クリストファー・ロビン”として有名になり、世界中の人から声を掛けられるよりも、両親との時間が欲しかったクリストファー・ロビン。
小説家の妻として、夫が名作を書き上げた事を誇りに想い、夫と息子を表舞台へと引っ張り出した妻のダフネ。
だれが間違っているかと言われると誰も間違っていない。
けれど、”有名になりすぎる”というのは時として不幸を連れてくるものなんだと感じました。有名税有名税と言ってしまうのは簡単ですが、騒がれるほうは神経が磨り減る……。

この作品を見ると、妻のダフネは色々と酷い親に思えます。
性別の件や、乳母にかけた言葉も酷い。
救いようのあるラストだけは幸いでした。
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