カミンスキー実在の人物かと思ったわ!(勉強不足)
架空のめちゃすごい画家、カミンスキーと彼の伝記を書こうとつきまとう自称ジャーナリストの男の話。ポスターのオシャレ感だけで迂闊に入ってしまったので、この監督の前作とかの情報はナシで見ました……。
主人公セバスティアンは「スクール・オブ・ロック」の主人公とかどころじゃないレベルでクズですが、なんか憎めないしやりすぎでおもしろいところがよかったです。そして彼と同じくらいクセの強いジジイ、カミンスキー。反発し合うけど実は似た者同士で、だんだんお互いがお互いの唯一の理解者になっていく2人のバディ感はよかったです。クスリと笑えるところもちらほら。
ただセバスティアンのカミンスキーに対する想いが変化する理由が明確にシーンとしてえがかれてない感じだったり(私の感受性不足…?)、時系列がバラバラで誰が誰だか混乱したりと、素直にヒューマンドラマでエンターテインしていく感じの映画ではなかったです。(ポスターの感じで予想はついていましたが)
それでも後半のとある家を訪れるシーンのディスコミュニケーション感とかはすごい辛くて(例えるなら「セッション」の親戚と食事するシーンのディスコミュニケーションに近いかもしれません。)、そこから2人が決断するクライマックスなんかは結構なカタルシスもありました。希望の残るラストが絵画風になるところも美しいです。がんばって逆転するところも見たかったな。あのあとセバスティアンはどうなったのか…。
孤独とか孤高とかディスコミュニケーションとかいろいろ胸の苦しくなる映画ではありますが、笑えるところもあるし最後は暗い感じではありません。こういうタイプの映画の中では結構好きでした。
途中の絵画っぽく変化するところや元ヌードモデルの老婆が脱いだ直後にだんだん若いビジュアルに戻ってくる演出など、視覚的におもしろいところもいっぱいあったのが印象的でした。