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オリエント急行殺人事件のMrsフロイのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
3.0
上野松坂屋にオープンしたシネコンに出掛けたところ上映時間が合うものがこの作品。早速自らのX'masプレゼントにチケットを買い求める。

アガサ・クリスティの名作。冒頭今世界の注目を集めるエルサレム「嘆きの壁」が映し出される!?偶然のこと(*_*;

そこから大画面一杯に繰り広げられるオリエント急行の勇姿に目が覚める!トルコイスタンブールの夕焼けをバックに出発し、雪に閉ざされた山岳地帯を疾走する国際列車がまさに主役級の映像美!
巧みに仏語、独語を操る名探偵ポワロが欧州を駆け抜ける列車を実感させる。様々な国や身分の乗客が乗り合わせる。

原作のアガサ・クリスティは、ミス・マープルというお婆ちゃん探偵が活躍する短編を愛読していた。ポワロが主役のものは「アクロイド殺人事件」がピカイチのトリックで忘れられない。

ただし映画は「ナイル殺人事件」を観てあまりに面白くなかった記憶しかない。だから1974年の「オリエント急行殺人事件」も観ていない。改めて当時の配役を調べると、まあ、なんとショーン・コネリーにアンソニー・パーキンス、ジョニー・デップの役はリチャード・ウイードマークですって♪
なんで観なかったんだろうと後悔。

そして今作品の背景にある1932年米国で実際にあった「リンドバーグ愛児誘拐事件」の事を知ると、アガサ・クリスティの巧みなストーリーに舌を巻く。事件の2年後、1934年に原作小説は発表されている。
リンドバーグは日本でも有名な史上初の大西洋単独無着陸飛行で、1927年にニューヨーク、パリ間33.5時間の空の英雄、来日もしている。
その幼い息子が誘拐され殺害された事件。

原作の発表された当時、世間では誘拐事件の記憶も生々しい読者がこれを読んだらと思うとドキドキする。

映画はそのドキドキ感を感じさせるものは無かった。
シニアの私でさえ、言われてみて初めてア~と思い出す塩梅ですもの。
ここはひとつ優れた映像技術の造り出す、オリエント急行の旅情に浸るのが得策。

大人のクリスマスイブに相応しい一本!
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