よし

空海 ーKU-KAIー 美しき王妃の謎のよしのレビュー・感想・評価

4.5
この映画はとても不遇だと思います。
私はチェン・カイコーも夢枕獏も大好きで夢枕獏原作、チェン・カイコー監督ということでこの映画が楽しみで、見終わった後もすごく感動したのに評価が低くてびっくりしました。

この話は愛の物語です。1人の青年が楊貴妃を彼の一生をかけて愛する話です。

なぜこの映画が低評価かと言えば、日本のプロモーションのせいだと思うのですが、そもそもこの映画の原題は『妖猫传』、つまり猫妖怪の物語、という意味です。タイトル空海じゃないし、空海の歴史物と勘違いして来てしまった人が多かったように思います。それに公開当時は日本語吹替え版しかなく、妙に響く声で収録しているせいで現実味がない感じになってしまっていました。

原作ファンやファンタジーと思っていなかった人にとって、何で原作と相棒役が変わってるの?だったり、空海と白居易が合うとか荒唐無稽では?と歴史的観点から駄作呼ばわりされているように思います。

ただ、私はこの話には愛があると思う。
映画の内容も愛がテーマですが、今回DVDでインターナショナル版(中国語)を観て気づきましたが、チェン・カイコーは夢枕獏の小説をよく読み込んでいて、それを脚本に昇華していると感じました。

未熟で人の心を知らない空海と、書きたい詩が真実なのか自分で疑ってしまい悩み続ける白楽天が楊貴妃の死の秘密を探ることで成長していく物語です。

ファンタジーが嫌いでないのであれば一度は観てほしい。
よし

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