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THE NET 網に囚われた男のクリームのレビュー・感想・評価

THE NET 網に囚われた男(2016年製作の映画)
3.6
南北のセンシティブな部分に切り込んだ作品で、製作された事に価値があるんだろうけど、『そんな事ある?』な設定にちょっと入り込めなかったです。普通に面白いですけど、私は、フィルマの評価程では無かった。
北朝鮮で妻子と暮らしていた漁師ナム·チョルは、ある日の漁の最中に網がエンジンに絡まり、韓国側へ流されてしまう。韓国警察に身柄を拘束された彼はスパイ容疑で捕まり拷問を受け、韓国への亡命を強要されが、妻子の元へ帰りたい一心で耐え続けるのだが……。




ネタバレ↓





南北境界線と言う名の網に囚われた(引っ掛かった)男の話。網に絡まった時点で、もう北にも南にも行き場は無かったと言う悲しいお話。
恐らく、最初に南北境界線の網付近で北側が射殺しようとしていたが、本当ならあそこで即、射殺だったと思います。出たら脱北ですからね。
そして、予想通りの展開で、予想通りの結末です。
ナム·チョルは、絶対見ないと言ったソウルの街を仕方なく見る事になる。物に溢れ、近代的なソウル。しかし、彼は資本主義の裏側も見てしまう。物があっても、幸せでない人がいる。彼は北に帰って、家族の愛さえあればそれで幸せだと思えるはずだった。
夫の不在中、妻は恐らく拷問を受けていたと思われ(明らかに様子がおかしく、肩等にアザが見えた)、かなり精神的に参っていた。妻との絆は崩壊。それでも家族の為に漁に出ようとするが、国境警備兵に『漁はさせられない。他の仕事を探せ、船を動かしたら撃つ』と言われる。もう、どうする事も出来なくなった彼は、撃たれる事を選択するのだった。
どんな事情にしろ政府の許可無しに韓国へ行けば脱北だと思うのだが、ナム·チョルは何で、北に帰れると思ったのか?帰って元の暮らしに戻れると思ったのか?残された妻子が無事でいられると思ったのか?不思議だった。北で洗脳されてるから、解らないのか?
辛いなと思ったのは、南北に別れていても元は同じ民族。一般国民レベルであんなに敵対視しているとは思わなかった。あのクソな取り調べ官ヨンミンとか演出なら良いのだけど、恐らくこれはありそう。
後、スパイ容疑で韓国に捕まった北の人が最後の手段として自分で自身の舌を噛み切って自殺するシーンは、衝撃だった。そんな風に訓練されてるのか?怖い、怖すぎる。大韓航空ハイジャックのキム·ヨンヒが口元をテープで覆われてるのを思い出した。
後、韓国側が『独裁政権から、1人でも多く救う事』か我々の目的って、言ってたけどあれって本当なのか?
どこまでが本当でどこまでが偽りか解んなくて混乱した。実話じゃないし、ナム·チョルの家族愛やジヌの行動に感動すべきなんだろうけど、ヘソ曲がりな私には向いてない作品だった。
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