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THE NET 網に囚われた男のfilmtravelerのレビュー・感想・評価

THE NET 網に囚われた男(2016年製作の映画)
4.2
キム・ギドク
黄海南道(ファンヘナムド)
ソウルの北

リュ・スンボム
イ・ウヌ(さよなら歌舞伎町)

北の漁師がエンジントラブルで南の国境警備隊に拘束され、ソウルに連行される。南ではスパイ容疑で拷問による自白の強要。スパイ容疑が晴れると今度は亡命への執拗な勧誘に会う。資本主義の繁栄の姿と自由という心理的解放を餌にされるも、彼がそこで見たものは有り余るほどの無駄と決して幸福とは言えない貧困層だった。メディアや国家同士の都合により、帰国が決定した後も、南のスパイとして活動することを持ちかけられる。帰還後に待っていたのは、勇士としてプロパガンダ利用され
た後のこちらも同様の執拗な尋問であった。家族のもとに帰った漁師はもはや廃人と化していた。何らかの確信を持ち、禁止されている漁に再び出たところを撃たれて終わり。

2つの国家の都合が小さな男の人生が狂わせ、小さな家族を崩壊させる。網に囚われた魚には抗う術もない。