「物より家族が大事です」
キム・ギドク監督が南北分断と、2つの国家に翻弄された男の悲劇を描く
北朝鮮で貧しいながらも愛する妻(イ・ウヌ)と幼い娘と幸せに暮らしていた漁師ナム・チョル(リュ・スンボム)
ある日、漁に出るとエンジンに網が絡まり船は故障し国境を越え韓国に流れ着いてしまう
船はようやく手に入れた全財産であり、家族を養うための大切な道具で手放す訳にはいかなかった
韓国警察に身柄を拘束されたチョルはスパイ容疑をかけられ激しい尋問を受ける
スパイでもなく、脱北者でもない
とにかく家族の元に帰りたいと願うチョル
初めて見る、華やかな韓国の街並み
人々の顔も明るく、物が溢れ豊かな国
なぜ食べ物やまだ使える物が道端に捨てられているのか…
街で涙を流す女性と出会う
こんなに自由な国で何が大変なのか?
彼は疑問を抱く
自由が必ずしも幸せとは限らない
光もあれば影もある
亡命させ、北朝鮮から救い出すことを「正義」とする韓国警察
ずっと彼を信じ続けた警護官のジヌ同志の存在
南も北も関係なく人と人との心の繋がり
平和への願い…
ようやく祖国に帰ることが決まる
が、更なる悲劇が待ち受けていた…
国家の偏った思想の押し付けも、取調官のずるさも胸糞
あまりに理不尽で残酷な運命
自由と尊厳を奪われ…
ラストの妻とのやり取りが本当に悲しい
じゃあ彼は、彼の家族はどうしたら幸せになれたんだろうか…
「魚は網にかかったら終わり」
2度目の鑑賞
『メビウス』と同じ監督と思えない大変意味のある作品だと感じた