黒柴

THE NET 網に囚われた男の黒柴のネタバレレビュー・内容・結末

THE NET 網に囚われた男(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

鬼才ギドクにしては若干大人しめの描写とシンプルな内容だけど、訴えたい事をストレートに描いた感じで、今の緊迫する北朝鮮情勢を頭の片隅に置いて鑑賞すると、「ホントの幸せって何だろ?北の人も幸せと思う瞬間があるのか?物に囲まれた豊かな国、韓国はどうなんだろ?」なんて所々に監督から問いかける描写もある。

電波少年に出てたなすびそっくりのナムが韓国に捉えられ、ナムを尋問する風見しんごそっくりの取り調べ官。脱北者のスパイに仕立てあげたい取り調べ官とナムに対する厳しい尋問と暴力。この暴力シーンも生々しくはなくギドクが訴えたいホントの北朝鮮の思想、同じ民族間で分断された悲劇を暴力シーンを極力排除する事でストレートに観てる者に訴える事に集中している。

何とか家族の居る北に戻りたいと懇願するナム、進化したソウルの街並みを目を閉じて頑なに見ることを拒否する姿は、現実を直視したくない怖さか?それとも豊かな国ソウルを見て自分の心が揺れ動く事に対しての怖さか?

北朝鮮に帰れても貧しいながら一瞬でも家族と過ごせたナムは幸せだったんだろうか?綺麗な奥さんが裸で迫ってきても受け入れられず拒否してしまう描写は、自分とは違うかな?と(´∀`)
静かに訴えるギドク節満載の映画。
黒柴

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