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ザーヤンデルードの夜のTOTのレビュー・感想・評価

ザーヤンデルードの夜(2016年製作の映画)
3.7
イスラム革命前後、人類学教授の父親と看護師の娘、病院に来る自殺未遂者、それぞれの生き辛さ。
検閲で30分以上削られた本編で更に音声だけ削られた部分もあり、検閲の恐ろしさに溜息が出た。

絶え間なく響く銃声と怒号の横で普通に日常を送る異常。
革命前、聴取から解放された父親がスタンドでコーラを買い「我コークを飲む!故に我あり!」と叫ぶシーンと革命後の変節が辛い。
あと、サイの例え話で『サイの季節』を思い出した。あちらも革命を描いて悲しい映画だった…。

結婚離婚して復縁を求めてきた元恋人に対し、娘が別の男性からの求愛を告げ「男性は妻がいて愛人を作っても責められないが女性は違う。男性は選ぶことができるけど女性は選ぶことができない。だから私は選ばずに一人でいる」というようなことを言っていて胸が苦しくなり。

26年前の作品でも古びない痛切な物語。
夜の街並みや、建物の飾り窓から入る光や、木漏れ日の淡い影など、映像も美しかった。
本来の形で観ることができないのが悔しい。
いつか観れたらいいのに。
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