Inagaquilala

オペレーション・メコンのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

オペレーション・メコン(2016年製作の映画)
3.6
今年初めに観た「疾風スプリンター」の監督、ダンテ・ラムの最新作品。「疾風スプリンター」、その後に観た過去作「クリミナル・アフェア 魔警」でも感じたのだが、この監督はとにかく映像が派手。しかもアングルや人物配置など絵づくりもきっちり計算されており、あらためてとことん映像で楽しませてくれる監督だなと再認識した。

作品の舞台は、タイ、ミャンマー、ラオスにまたがるゴールデン・トライアングル。この地を流れるメコン川で2011年に中国の船が襲撃された実際の事件をもとにしてつくられたクライムサスペンスで、冒頭からメコン川を中心とした大自然の風景と流域の町の様子がダイナミックに描かれる。

巨大な麻薬密造地帯として知られる「黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)」。このエリアのメコン川を航行していた中国の貨物船が何者かによって襲撃され、中国人乗組員13人が惨殺される。事態を重く見て、捜査を開始した中国政府は、公安警察のカオを現地に送り込む。

故あってこの地で潜入捜査をしていた諜報員のフォンと合流したカオは、事件の背後に巨大な麻薬組織が関与している事実にたどり着き、さらなる手がかりをつかむためにゴールデン・トライアングルの山岳地帯へと向かう。

「疾風スプリンター」では、台湾が舞台で、都市まわりの映像が多かったのだが、今回の作品では、思い切り山野や河川を取り入れた描写が登場する。

しかもクライムサスペンスということで、追跡シーンやバトルシーンもふんだんにあり、それだけでもうじゅうぶん楽しめる。おそらく日本では、資金的にも法律的にも成立し得ない大がかりな撮影も、こともなく敢行しており、まさにハリウッドの超大作並みのアクションシーンが楽しめる。上映時間2時間をゆうに超える作品なのだが、まったくその長さは感じられない。

ショッピングセンターを爆破したり、密林の中の銃撃戦があったり、カーチェイスはもちろん、クライマックスは水の上を疾駆するボートでの大掛かりな追跡シーンだ。

とにかく、ダンテ・ラムの派手な映像に、魅了され尽くされる。映像の原初的楽しみが満載の作品。この際、ストーリーなどはそっちのけで、とりあえず楽しむしかない。
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