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blank13のhorikingのレビュー・感想・評価

blank13(2017年製作の映画)
4.2
借金まみれで13年前に失踪した父親(リリーフランキー)が余命短いことを知り、家族はそれぞれに複雑な思いを抱く。妻(神野三鈴)と長男(斎藤工)は会うのをためらい、次男(高橋一生)は見舞いに行ったが気持ちがすれ違ったままで病院をあとにする。やがて父が逝き、葬儀に訪れた弔問客は10人にも満たず、みな社会からはみ出たような人ばかり。しかし誰もが父の死を悼み、生前助けられたと感謝の気持ちさえ口にする。父を嫌っていた息子たちは激しく動揺するが、同時に嬉しくもある。父を嫌う気持ちと慕う気持ちの葛藤を、高橋一生が好演。逡巡するときの目の泳ぎっぷりが何ともいえずいい。また、主題曲が素晴らしい。エンディングで流れる、笹川美和のカバーによるハナレグミの「家族の風景」は、この映画の空気感にぴったりだった。もう一つ印象に残ったのは、父が次男にプロ野球選手の打撃フォームを真似させるシーン。「じゃ、八重樫やってみようか。(息子の素振りを見て)それじゃあお前、梨田だよ。じゃあ次は川藤やってみるか」。いずれも癖のある打撃フォームで記憶に残る選手ばかり。名選手の掛布や原ではなく、脇役としてファンに愛されたこの3人の名前が出たことが嬉しくて、思わず客席でうなづいてしまった。
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