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モルゲン、明日のhorikingのレビュー・感想・評価

モルゲン、明日(2018年製作の映画)
4.5
原発再稼働の報に触れるたびに、居心地の悪い気分になる。都会で潤沢な電気を享受する自分もまた、再稼働の恩恵を受ける立場にあるからだ。福島第一原発事故のわずか3カ月後に、ドイツはすべての原発を2022年までに廃炉にする方針を決めた。脱原発をできる国とできない国の違いを探りに、本作の坂田雅子監督はドイツに向かう。都市で、村で、学校で、教会で脱原発と自然エネルギーを実践する多くの人々がインタビューに応えて、自らの信念を情熱を語る。みんな眩しいくらいに、かっこいい。坂田監督は、両国の違いは第二次世界大戦の反省と戦後処理にあると言う。うーむ、やはりそこですか。この映画を観た「福島映像祭」(9月22日~28日、東京・ポレポレ東中野)で登壇した福島のテレビ局やジャーナリストからは、東京五輪に向けた復興モードの中で、原発事故の被害を語りにくい雰囲気が醸成されつつあり、国からの補償金受給の有無など立場の違いもあいまって、コミュニティの分断を生んでいるとの現状が語られた。フクシマは続いている。本作は、そんな当たり前のことを気づかせてくれる。
東京・豊島区のシネマハウス大塚で10月6日(土)から14日(日)まで9日間限定上映。https://cinemahouseotsuka.com/
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