木葉

光の木葉のレビュー・感想・評価

(2016年製作の映画)
3.5
これこそ、不快度200の映画だ。冒頭のジェフミルズの違和感ある爆音テクノから、心がざわつき、耳が痛くなり、そして突発的な暴力シーン、痛ましい描写から気持ちが萎えてくる。
瑛太の怪演が素晴らしい。
人は、子供の頃にあまりにも酷い、おぞましい体験をすると、心がなくなるというか、人でなくなってしまう。
映画からは、冷たい、救いようがない空気がそのまま伝わってくる。
井浦新、瑛太、長谷川京子は小さな島の出身者で幼馴染である秘密を共有しており、瑛太は井浦新をずっと兄貴と慕い、心酔し、井浦新は長谷川京子に翻弄され利用される。
子供の頃の出来事は、歪な絆を作り、彼らの魂を吸い取るように呪い続ける。
とにかく出演者全員が氷のように凍てついていて、ラストまで不気味すぎて恐ろしく怖いのだ。
日常の中に潜む暴力は、人が生きている限りなくならない。
生々しい暴力と狂気が生命力を奮い立たせる。
大森監督は人間の奥底に潜む狂気を映し、説明や、理解を排除し、俳優の表情、行動で、その存在を感じさせる。
息が詰まりそうになるくらい強烈で抉られるような衝撃的な映画であった。
木葉

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